「どこまで経費にしていいの?」「車のガソリン代や駐車場代は?」。個人事業主として働き始めると、経費の線引きに迷う場面が一気に増えます。

結論から言うと、個人事業主の経費は「事業の収入を得るために必要な支出かどうか」で判断します。金額の上限や「何割まで」という決まりはありません。

  • 仕事に使った支出は経費になり、生活のための支出は経費にならない
  • 仕事と生活の両方に使う車・スマホ・自宅は、仕事で使った割合だけ経費にする(家事按分)
  • 10万円以上の車などは、原則として数年に分けて計上する(減価償却)
  • 領収書・レシートは保存が必要。帳簿は原則7年

この記事では、国税庁の情報をもとに経費にできるもの・できないものを一覧で整理し、車や宿泊費など移動しながら働く人ならではの経費まで解説します。

木製の車の模型と円マーク(個人事業主の経費・車にかかるお金のイメージ)

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個人事業主の経費とは?国税庁が示す考え方

個人事業主の経費(必要経費)とは、事業の収入を得るためにかかった費用のことです。国税庁のタックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」では、必要経費を次の2つに分けています。

  • 売上原価など、収入を得るために直接かかった費用
  • 販売費・一般管理費など、その年に生じた業務上の費用

迷ったときは、次の3つを確かめましょう。

  1. その支出がなければ、仕事(売上)が成り立たなかったか
  2. 仕事と生活のどちらに使ったのか、説明できるか
  3. 領収書や記録など、支払いを証明できるものがあるか

なお、経費は「使えば得をするもの」ではありません。経費が増えると所得(売上−経費)が減り、そこにかかる税金が減る仕組みです。所得税率5%・住民税10%の方なら、1万円の経費で減る税金はおよそ1,500円にとどまります(復興特別所得税などを除いた概算)。本当に必要な支出かどうかを基準にしましょう。

個人事業主が経費にできるもの一覧

確定申告の決算書で使う主な勘定科目(経費の分類)ごとにまとめました。

勘定科目経費にできるものの例
旅費交通費電車・バス・タクシー代、出張先の宿泊費、仕事での高速道路料金
車両費・燃料費(決算書の空欄に追加する科目)ガソリン代、オイル交換、洗車代
修繕費車検・点検・修理代、タイヤ交換
地代家賃事務所の家賃、月極駐車場代、自宅兼事務所の家賃(按分)
賃借料(リース料)車両・機械のリース料、レンタル料
損害保険料事業用の自動車保険(任意保険・自賠責)、火災保険
租税公課個人事業税、事業分の自動車税・固定資産税、印紙代
通信費スマホ代・ネット代(按分)、切手代
水道光熱費電気・ガス・水道代(按分)
消耗品費10万円未満の道具・文房具、作業用の手袋や台車
減価償却費10万円以上の車・パソコンなどを分割して計上した分
接待交際費取引先との会食、手土産(事業に関係するもの)

どの科目にも当てはまらない少額の支出は「雑費」にまとめます。大切なのは、科目選びより事業に必要な支出かどうかです。

経費にできないもの

次のような支出は、事業をしていても経費になりません。

経費にできないもの理由・補足
生活費(自分の食事代・私服・家族旅行など)事業と関係のない「家事費」のため
所得税・住民税国税庁が必要経費にならないと明記している
国民健康保険料・国民年金保険料経費ではなく「所得控除」として差し引く
生計を一にする家族への給与・家賃原則として経費にならない(青色事業専従者給与などの特例あり)
交通違反などの罰金罰金・科料・過料は必要経費にならないと国税庁が明記している

家事按分のやり方|仕事と生活の両方に使う支出

自宅の家賃、スマホ代、自家用車のように仕事と生活の両方に使う支出は、仕事で使った割合だけを経費にする家事按分(かじあんぶん)をします。

国税庁は、こうした支出(家事関連費)について、取引の記録などから業務に直接必要だったと明らかに区分できる部分だけを経費にできるとしています。割合は「なんとなく半分」ではなく、説明できる基準で決めます。

支出按分の基準の例
自宅の家賃仕事で使う部屋の床面積の割合
電気代仕事で使う時間・部屋の割合
スマホ代仕事で使った時間や通話の割合
自家用車の費用仕事で走った距離の割合

車なら、走行距離が一番わかりやすい基準です。

(計算例)1年間のガソリン代が18万円で、走行距離1万2,000kmのうち仕事で9,000kmを走った場合

→ 9,000km ÷ 1万2,000km = 75%

→ 18万円 × 75% = 13万5,000円を経費に計上

割合を説明できるよう、運転日誌やスマホのメモに「日付・行き先・距離」を残しておきましょう。

個人事業主の経費:車のガソリン代・駐車場代・車両費

車で働く個人事業主は、車の費用が経費の大きな割合を占めます。「毎月の費用」と「車そのものの費用」に分けて見ていきます。

「自動車維持費」と書かれた木のブロックとミニカー(個人事業主の経費・車の維持費)

車の維持費で経費になるもの

仕事で使う車なら、次の費用を経費にできます。自家用車と兼用なら、前の章の家事按分をします。

  • ガソリン代(仕事で走った分)
  • 月極駐車場代・コインパーキング代
  • 高速道路料金
  • 車検・点検・修理・タイヤ交換の費用
  • 自動車保険料(任意保険・自賠責保険)
  • 自動車税・軽自動車税(事業で使う割合)
  • 車両のリース料

車の購入費は「減価償却」で数年に分けて経費にする

10万円以上の車は、原則として買った年に全額を経費にはできません。法定耐用年数(国が決めた使用できる年数)に分けて、少しずつ経費にします。これが減価償却です。国税庁の耐用年数表(車両・運搬具の一般用)では、自動車は次のとおりです。

車の区分(一般用)法定耐用年数
小型車(総排気量0.66リットル以下=軽自動車)4年
貨物自動車(ダンプ式以外)5年
上記以外の自動車(普通乗用車など)6年

(計算例)軽バンを新車120万円で買い1月から仕事に使うと、定額法(耐用年数4年・償却率0.250)で毎年30万円が減価償却費です。仕事で使う割合が80%なら、経費は年24万円。年の途中で買った場合は月数で計算します。

中古車は、使える年数の見積もりが難しい場合に「簡便法」で耐用年数を短くできます。法定耐用年数をすべて過ぎた車は「法定耐用年数×20%」、一部を過ぎた車は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算し、1年未満は切り捨て、2年に満たない場合は2年です。4年落ちの軽自動車なら、4年×20%=0.8年なので2年になります。

少額の備品は一度に経費にできる場合も

10万円未満の物は、買った年に全額を経費にできます。10万円以上20万円未満なら、3年で均等に経費にする方法(一括償却資産)も選べます。

一定の要件を満たす青色申告者は、少額減価償却資産の特例も使えます。国税庁によると、令和8年(2026年)3月31日までの取得は30万円未満、令和8年4月1日以後の取得は40万円未満の資産が対象で、取得価額の合計300万円までをその年に一度に経費にできます(令和11年3月31日までの取得分)。「個人事業主の経費は300万円まで」という話は、この特例の上限と混同されたものです。

移動して働く仕事ならではの経費|宿泊費・駐車場代

全国を回る配送・配布の仕事や出張の多い仕事では、移動と滞在の費用が大きくなります。主な支出の扱いは次のとおりです。

軽自動車のハンドルとスピードメーター(移動して働く個人事業主の車の経費)
支出経費になるか注意点
現地のビジネスホテル代なる(旅費交通費)仕事のための滞在であることがわかる記録を残す
現地での駐車場代なるコインパーキングでも領収書を受け取っておく
現地までの移動費なるガソリン代・高速料金・フェリー代など
出張中の自分の食事代原則ならない宿泊プランに含まれる場合などは扱いが変わることも
現地での観光・レジャー費ならない仕事の移動とあわせても生活費として扱う

ポイントは、仕事の移動と私的な旅行を分けて記録することです。仕事の前後に観光で延泊した分は経費になりません。迷う支出は税務署や税理士に確認しましょう。

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毎月ちがう街へ。自分のペースで全国を回る働き方

  • ✓案件のある都道府県へ移動し、エリアの全戸に配布
  • ✓稼働は8:00〜20:00の間で原則自由。休みも自分で決められる
  • ✓働きはじめの1か月間は車両リース料無料。営業ナンバー不要で、夫婦での稼働例も

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きゃらべるで働く場合の経費の考え方

移動して働く仕事の一例が、株式会社SOLO JAPANが運営するきゃらべる(全国キャラバン隊)です。毎月違う都道府県へ移動し、エリアの全戸にチラシなどを配布する業務委託の仕事で、営業や接客はありません。

募集案内(2026年10月時点)に掲載されている、経費に関わる条件は次のとおりです。

項目内容
契約形態業務委託(個人事業主として働く)
報酬月20万〜60万円(配布件数による出来高制・過去の実績から算出)
毎月の経費個人負担(年会費などは不要)
働きはじめの1か月間のサポート宿泊代・配布時のガソリン代・配布中の駐車場代を全額保証、車両リース料無料、1か月目の報酬に+3万円(規定による)

※報酬は稼働日数・地域・案件によって変わります。条件は変更されることがあるため、最新の募集案内と面談で確認してください。

このため、きゃらべるで働く場合は、宿泊費・ガソリン代・駐車場代などを自分で負担し、経費として計上することが前提になります。2か月目以降の扱いは面談で確認しておくと、収支の見通しが立てやすくなります。

注意したいのは、働きはじめの1か月間に保証を受けた費用です。保証の受け方(立て替えて精算するのかなど)で帳簿のつけ方が変わるため、保証を受けた分を自分の経費として重ねて計上しないよう、面談の際に確認しておきましょう。

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領収書・帳簿の保存方法|レシートでも大丈夫?

経費を計上したら、支払いを証明する書類の保存が必要です。日付・支払先・金額・内容がわかれば、レシートも領収書と同じように保存書類として使えます。

国税庁が示す保存期間は、次のとおりです。

申告の種類帳簿領収書・請求書などの書類
白色申告7年(収入・経費を記載した帳簿)※法定外の帳簿は5年5年
青色申告原則7年原則7年(請求書・見積書・納品書など5年でよいものもある)

移動して働く人は、レシートがたまりがちです。次の3つを習慣にしましょう。

  • ガソリン代・駐車場代のレシートは、その日のうちに封筒やファイルへ入れる
  • 宿泊予約サイトの領収書やETCの利用明細など、電子で受け取った取引データは電子データのまま保存する(国税庁は、個人事業者も請求書・領収書などの電子データを一定の要件で保存する必要があるとしています)
  • 仕事用の支払いは、事業用のカードや口座にまとめる

よくある質問(FAQ)

個人事業主の経費は何割くらいが目安ですか?

決まった割合はありません。経費の割合は業種によって大きく違います。「何割までなら大丈夫」ではなく、事業に必要な支出かどうかで判断します。前年より経費が急に増えた場合は、理由を説明できるようにしておきましょう。

個人事業主の経費は300万円までですか?

経費そのものに上限はありません。300万円は、青色申告者が使える「少額減価償却資産の特例」で、一度に経費にできる金額の年間上限です。30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)の資産が対象です。

個人事業主は車を一括で経費にできますか?

10万円以上の車は、原則として一括では経費にできず、減価償却で数年に分けて計上します。法定耐用年数は軽自動車が4年、普通自動車が6年です。4年落ちの中古の軽自動車なら、簡便法で耐用年数は2年になります。

自家用車のガソリン代は経費になりますか?

仕事で使った分は経費になります。私用でも使う場合は、走行距離などをもとに家事按分をし、仕事で使った割合だけを計上します。運転日誌などで割合を説明できるようにしておきましょう。

まとめ|「事業に必要か」を基準に、記録を残して経費にしよう

個人事業主の経費について、要点をまとめます。

  • 経費は「事業の収入を得るために必要な支出」。上限や決まった割合はない
  • 生活費・所得税・住民税・罰金などは経費にならない
  • 車・スマホ・自宅など仕事と生活の両方に使うものは、走行距離などの基準で家事按分する
  • 10万円以上の車は減価償却。軽自動車は4年、中古は簡便法で短くなる
  • 出張先の宿泊費や駐車場代は経費になるが、観光や自分の食事代は原則ならない
  • レシートも保存の対象。白色申告の帳簿は7年、書類は5年、青色申告は原則7年

まずは今月から、ガソリン代や駐車場代のレシートを1か所にまとめてみてください。個別のケースで判断に迷うときは、税務署や税理士に相談しましょう。

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出典・参考

※本記事の情報は2026年10月時点のものです。税制や募集条件は変更されることがあります。個別の判断は税務署・税理士に、きゃらべるの条件は最新の募集案内・面談でご確認ください。